「 シーズン21 」 一覧

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誰がために薪ストーブは燃える

若い頃は老後のことなんて考えたこともなかった。だから70歳になっても80歳になっても、自分は相変わらず健康で元気に薪を割り、せっせと薪を運び、薪ストーブを楽しそうに焚いて家族を暖めている。疑う余地はなかった。そんな私が60歳を超えてくるとさすがに、「それはなかなか簡単なことではないのだよ」と悟るようになる。

そして最近では、よくこんなフレーズが頭をよぎる。「自分は、あとどれくらい薪ストーブを焚くことができるんだろう?」
この先の自分の寿命がわからないからこその、現実的な問いだ。


子どもたちは独立し、今は妻とふたり暮らし。でも平均寿命から考えても、先に逝くのは私の方だ。そうすると、ひとり残った妻はどうやって暖を取ればいい?薪ストーブが燃えなくなった家で、妻が薪を運んで、火を起こすなんてとても無理だ。吹き抜けのある我が家の大きな空間を、エアコンに石油ファンヒーター、コタツや電気カーペットなど、方法はなんであれ、ひとり細々と暖をとってるのを想像すると、それは忍びないにもほどがある。
かといって「はい、ここに全財産を残しておくから後はよろしく」と丸投げして逝けるほど蓄えがあるわけでもない。となれば、私が今のうちになにか手を打っておいた方がいい気がしてくる。

こんなことを考えるのが人生の後半ってやつ?笑ってしまう。でも、悪くはない。むしろちょっと楽しい想像だ。ああでもない、こうでもないと、これを書きながら、なんだかんだと私は喜々としているんだと思う。

とはいえ、これまでこの問いを何度も書き始めてはいるが、いつも答えは堂々巡り。同じ場所をぐるぐるしている。私にとってこの問いはかなりの難問のようだ。

ただ、考えていくと、ここにはどうしても行き着く。

No Stove, No Life.

今までもそうだったし、今もそう。薪ストーブが燃えることが私の暮らしであり、人生の一部だったことは間違いない。だがもっと大事なことがある。もし私が独身だったら、ここまで情熱的に薪ストーブを焚こうとしただろうか。自分ひとりのために、この手間ひまと時間と労力をかけただろうか。男のロマンだとか、そういうのとはぜんぜん話は違う。

私が薪ストーブに向き合ってきたのは、家族を暖めたかったからだ。ストーブの前に集まって、ぬくもりを分け合って、冬の夜を笑いながら過ごしたかったからだ。あの時間は、つくづく幸せだったし、妻とふたりになった今も幸せだ。家族を包む火の暖かさが、私自身を暖めてくれていたのだ。


だからこそ、いずれやってくる「その時」のことを考えないわけにはいかない。薪ストーブは燃えるのか。誰を暖めるのか。
それはつまり、薪ストーブを「しまう」のか、「残す」のか、「託す」のか。あるいはなにか手を打って「変えていく」のか、という問いになる。

今すぐにはなかなか答えは出ない。人生の答えにも似て、最後の最後になってふっと見えてくるものかもしれない。ゆっくりでいい。少しずつ考えていこうと思う。

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ホウロウレッドの天板その対処法

画像は21年目のアンコール・ホウロウレッドの天板だ。汚れは中性洗剤で擦り、剥がれやサビをとって、これから掃除しようというところ。

経年劣化でどうしても欠けていくホウロウレッドの天板をどう補修するかについて、これまで記事「ホウロウの手入れ」でさんざん試したように、「天板のホウロウの剥がれは、(ファイヤーサイド専用の)パテと補修液で補修してもムダ。1シーズンですぐに剥がれてしまう。」「むしろ天板はパテなどしないで、剥がれたままヤスリで磨いて、ストーブポリッシュやオリーブオイルを塗布した方が、違和感のない、味のある天板になると思う」と書いてきた。21年目の今でも、私はやっぱりそう思う。
賛否あるだろうし、そもそも新品に取替えるとか、新機種にするとか、最初からホウロウは避けるとか、対処の仕方は人それぞれ。あくまでこれは私の場合の対処法だ。

というわけで、アンコールホウロウレッドの天板をルーターやヤスリで削ってる、モノ好きなヤツがここにいるというわけ、笑。

21年目のアンコールの天板を点検すると、手で触るだけでボロボロ剥がれる箇所がある。あるいは剥がれる直前だけど明らかに浮いてる箇所がある。それは放置しないで、思い切って削ってしまう。その下にはサビがある。思い切りが肝心だ。

削ればわかるけど、その下ではサビが侵食を始めてる。私がホウロウの剥がれをルーターで削るのは、サビ止めと剥がれの拡大防止なわけ。拡大を恐れて放置すると、シーズン中にもボロボロ剥がれて見苦しく拡大していく。いっそ削って、ヤスリかけた方が剥がれは止まるし、ストーブポリッシュで磨けば見栄えも悪くないと思うんだ。

夜の落ち着いた灯りでは下の画像のように見える。

さあ、21年目のシーズンがはじまる。薪を焚く暮らしがまた始まる。ありがたいことだね。

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久しぶりの煙突掃除

さて、ようやく暑さも和らいだある日、久しぶりの煙突掃除をする。とても久しぶり。室内からちょちょいと掃除したことはあったが、屋根にあがるのは手術した2020年以来、5年ぶり。やや感無量なとこがある、笑。

我が家の煙突は抜き抜けをストレートで立ち上がっていて、1階部分はホーロー赤塗装のシングル煙突、2階部分は二重煙突という構成。このことは「吹き抜けの二重煙突化」で書いてる。

画像の通り、1階部分の赤いシングル煙突はせっかく手が届くのだから、一本ずつ外して掃除する。屋根から掃除するのは2階以上の二重煙突の部分だ。

我が家の場合、屋根には簡単にあがれるし、傾斜も約12度と緩い。布団干して昼寝したくなるくらい、のんびりした屋根なのだ。

やることは簡単。煙突トップを外して、ブラシをジョイントしながら煙突に入れていって、下までいったら引き上げる。これを何回かくり返す。ブラシを通す抵抗でそれなり力も必要だけど、難しいことはない。煤も思ったよりサラサラで、惨状を覚悟してたわりにはひと安心。煤を落として、キレイになりました。
今まであったトラブルとしては、煙突トップが固着して外せず途方に暮れたことがある。薪ストーブに慣れてなかった当初は、乾燥が甘い薪をしかも空気を絞ってトロトロと低温で焚いてたせいで、湿り気のある煤がべっとりとタール状に付着して固まってしまったんだな。薪ストーブをどのように焚くかは煙突掃除に影響するね。

屋根から降りたら、3本の赤いシングル煙突を外に持ち出して、一本ずつブラシを通す。ハンディのワイヤーブラシも使って念入りに。我が家の煙突掃除で出る煤の半分は、この3本の赤いシングル煙突から出る。シングル煙突はいかに煙を冷却してるかがわかるね。

久しぶりの煙突掃除は、自分史上最大量の煤が取れた。ラーメンどんぶり一杯。画像に残しておこう。

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