シーズン12 薪ストーブ

私の薪ストーブライフ

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例えばクルマ好きにもいろいろあって、走ったり、カスタマイズしたり、オーディオに凝ったり、タイヤやホイールも取っ替え引っ替えしたりいろいろあるが、自分にそういう楽しみ方はない。クルマはそれで移動して好きなところへ行けるのがよい。空間を移動するあの感覚が好き。異空間に連れていってくれる。

ギターも好きだけど集めたり珍しかったり目立ったり高価だったりうんちくはまずしない。ギターはサウンドが好き。音楽するのがいい。サウンドのための機材も大事だが、アコースティックギター一本でもできるし、それこそ生の声こそ一番のサウンド。そこから生まれてくるものがいい。

私は薪ストーブを焚くけれども、薪ストーブが好きなのかといったらそれだけでない気がする。私は火を焚くのが好きで火のある暮らしを工夫して暖かく豊かに過ごせることに幸せを感じる。だから極端にいえば道具は鉄板ストーブでも暖炉でもいいし囲炉裏でもいいんだろうと思う。ただ家を建てる際、電気や化石燃料以外で家まるごと暖める十分な能力があり一番興味を引かれたのが薪ストーブで、当時ラインナップしてた中からひとつを選んだ。そして選んだ伴侶は大切に付き合う。手間ひまかける。

そう、その頃(2005年頃)は薪ストーブユーザーの間で「触媒 vs クリーンバーン」みたいな構図があった頃。ネット上の情報交換などでよくヒートアップしてた。今ではそんな構図はすっかり駆逐されたのかな。まるでパソコン黎明期の「Mac vs Windows」みたいで市場が未成熟なうちはよくあることと笑って見てたが、私のブログを読む人からは「触媒好きの触媒派」とカテゴライズされてたような気がする。

話がそれた。

薪ストーブの暮らしにもすっかり慣れたので、やはり元々の原点というべき自分の指向が色濃くなってくる。というかそれに気づかされていく。もともと作ったり工夫するのが好きなので手間ひまかけてメンテナンスはするが、好きなのは薪ストーブというより、薪をつくり、薪をはこび、薪を焚く暮らしだ。そこで発見すること、工夫すること、道具を使うこと、苦労することや自然に触れること、そして最後に暖かく暮らすこと、そこに惹かれているんだな。

いつもそこには薪があり、薪は森や木につながっている。森林から経済や世相や環境やエネルギー、それこそ里山の小さな暮らしは地球規模の課題にまでつながって見える。そのイメージを辿って知ったり調べたりするのが楽しい。その薪のことも材料としての木材の研究ならたくさんあるが、木材学とも樹木学とも材料学とも違う、燃えて灰になるための薪の研究はなかなか目にすることができない。今もくべてるその薪そして暖かさにはそれらすべてと自然の摂理がつまっていて、薪をつくり、薪をはこび、薪を焚く暮らしを辿っていけば、道理を失いがちなこの世の不条理など完全にすっ飛ばした世界がそこに見えてくる。私はその一部になって知ってみたい。その豊かさ暖かさを幸せと感じる。私の薪ストーブライフはそういうことなんじゃないのかな。

と、年初の気分でとりあえずそういうことにしておこう。

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