斧を研ぐ
私の斧はグレンスフォシュブルークス 薪割り鎚 450 Splitting Maul。斧頭が鎚になってる。ハンマー斧とも言うらしい。だからSplitting Axeでなく、Splitting Maul。グレンスフォシュの中では最も強力な斧だ。
この斧を買って最初の3年間、私は一度も刃を研いだことがなかった。刃は丸く刃こぼれもあった。でもこのハンマー斧は切るんじゃなくてぶっ叩いて割るんだからどっちでも大差ないだろうくらいに軽く考えていた。自分は磨いて飾って喜ぶ斧フェチじゃない、なんて思い違いもあった。チェンソーはせっせと目立てするのにね。
そんな3年目、私は腰痛に苦しむことになる。薪割りができない、斧が振れない。それが電動薪割機を買うきっかけになるのだが、腰痛を経験してわかったことは、要するに研いでない丸い刃は腰にくる。少しも食い込まない鉄の塊が木と衝突するわけだから、それは自爆そのもの。元気な時は気づかないだけで、相当な衝撃を腰は支えているのだ。
斧を研ぐと切れ味ならぬ「割れ味」が復活する。グッと鋭く食い込みながら重厚に割れる手応えがタマラナイ。研ぐのはホームセンターで買ってきた普通の砥石。500円。ちゃんとした専用のシャープナーがあるから買える人はそちらをオススメ。
グレンスフォシュの斧についてくる「斧の本」を参考に。やりすぎて刃を薄く弱くすると逆に刃こぼれしやすくなるから気をつけよう。
この、斧を研ぐってのは古今東西いろんな教訓、逸話の中に象徴的に登場する。
「もし私が木を切りたおすのに8時間与えられたら、斧を研ぐのに6時間かけるだろう」
と言ったのはエイブラハム・リンカーンだとか。日本の二宮金次郎が薪を背負いながら本を読めば、アメリカのリンカーンは斧と本で苦学した。斧は相当使えたらしい。
他には「木こりのジレンマ」という話もある。検索すればズバリ読める。
*** あるところに新しい斧を手に入れた木こりがいた。
斧は切れ味素晴らしく、1日でたくさんの木を切り倒すことができた。
毎日毎日、彼は朝から晩までせっせと仕事に励んだ。
しかしそれと反比例して、日に日に切り倒せる本数は少なくなっていった。
それを見ていた人はアドバイスした。
「斧を研いだらどうだ?。刃がボロボロになってるじゃないか。はかどらないのは当然だよ」
すると、木こりは答えた。
「そんなことをしている暇はない。私は忙しい。もっと数多くの木を切り倒さなければならいのだから」
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