シーズン20 薪ストーブ

薪ストーブは今年も燃えるのです

薪を焚く暮らしをして20年。毎年いろんなことが起こって、同じ年はひとつとしてないのに、今年もやっぱり寒くなって雪が降って、いつもの年と同じように薪ストーブは燃えるんだろう。そうすれば私はせっせと薪を運んで、炎と温度計の推移を見ながら、ダンパーをガッチャンと操作して、赤々と燃える炎のゆらめきと、薪ストーブの暖かさに、楽しそうにしてる。

朝はまだ暗いうちから起きて、寝室の妻を起こさないよう、そおーっとアンコールのダンパーを開けてフロントドアをすうっと開け、炉内の灰を面倒みて、熾があればそれそれと集めて、その上に焚き付け材を組む。ドアガラスの汚れが気になれば、ティッシュを1枚2枚シュッととってキッチンでさらさらと濡らしたら、ガラスをひと拭きふた拭き。すっかりクリアになったところで、着火剤にマッチで点火する私は、今も昔も下から着火する焚き火スタイルだ。人よりたぶん多めの焚き付け材を使うみたいだから、燃える燃える、焚き付けに失敗することはほぼないんじゃないかな。律儀なんだろうか、少し笑う。
メラメラと燃え広がる様子を、炉台に座り込んで片膝立てて頬を乗せ、フロントドアの目線の高さでずっと見てる。観音開きのフロントドアから煙が漏れてくる前に、ドアを少し半開きに閉めたならば、その隙間から煙突が勢いよく空気を吸い上げて、炎はぐんぐん燃え広がっていく。

頃合いを見計らったところでこれでよし。フロントドアを閉めてドアハンドルをぐいっと回して密閉。外はまだまだ暗い。暗がりのリビングに炎の明かりがダンスを踊って、カーテンに映した赤い揺らめきに、知らない人は驚いて火事だと通報しないかしらん、少し心配、笑。私は相変わらず炉台に座り込んだまま炎を見てる。早朝なのでまた眠たくなってくるくらい。

あったかくなってくる。あったかくなってくる。頬が熱くなってくる。
あったかい。

毎朝こんな感じ。薪ストーブは今年も燃えるのです。幸せなことです。