シーズン12 薪ストーブ

10年ひと昔

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私が薪ストーブの導入を考えていたのは2000年前後のこと。あの頃って、薪ストーブに関する情報をどこから入手していたんだろうね?
もう忘れてる部分が多いが、たぶんほとんどが紙媒体で多くが書店で買う住宅関連本の記事や広告でなかったろうか。当然それらは「家を建てる」ためのもので、「薪ストーブだから雪国でも吹き抜け空間が可能になる」みたいなフレーズと理想の空間が載ってて私の夢は膨らんだものだ。「木の家&吹き抜け&薪ストーブ」特集がたびたび組まれ、そんな住宅情報誌を何冊も買った記憶がある。
薪ストーブ選びの導入本みたいなのも買ったな。欧米の薪ストーブスペックが一覧になってて薪割りから焚き方やメンテナンスまで載ってたけれど、やはり夢を膨らませることの役には立ったが導入後はまず開いていない。

現在、2016年は当時と比べ物にならないほど薪ストーブの情報は増えた。薪ストーブ自体の数や種類が増えてるし、なにより紙媒体をしのぐネットの力は大きいよね。焚きながら暮らしながらの情報交換が双方向だものね。しかもその表現力や発信力は大したもので、たくさんの評価を集めるブログや、実際に人を集めて動かしてる人もいる。何より一番いいなと思うのは、つくる側、売る側、施工する側の情報提供しようとする姿勢が年々進んでいること。10年前の比じゃないよね、ずっと上手になった。Webデザイナーを雇って自社サイトの充実は当たり前としても、不確かで偏った情報を整理してわかりやすく提供しようとするのはユーザーは大歓迎だ。メーカーの出す情報や、地方にあるたくさんの創意工夫、また課題や相違点等がどんどん整理されて「全国でもまれて」フィードバックしながらある程度陳腐化して見えるほどのシンプルさに昇華されていけばいい。普及とか汎用化って大なり小なりそうだと思うんだ。
薪ストーブに「業界」や「市場」「文化」ってものが成立してるかどうか私は知らないがあるとするなら、ユーザー・メーカー・業者・官民含めてまだまだ未成熟であることは誰も異論がないと思う。薪の供給だっておぼつかない。10年ひと昔、そしてここからの10年後がまた楽しみだ。

  • 80年代、黎明期
  • 90年代、第一世代
  • 00年代、第二世代
  • 現在は、第三世代

これは私(ユーザー)から見た普及度合いのイメージ。勝手な私の括りであって、人に話して笑われても知らんが、2020年東京オリンピック後、第四第五世代の薪ストーブ事情はどうなってくだろうね。個人的には技術革新による国産薪ストーブのベストセラー機が出てることに期待してる。それまでの第一第二第三世代なんか所詮「旧世代」とひとつに括られちゃうくらいの革命ね。もちろん焚くのは薪。工業化された木質燃料じゃなくてね。
とにかく、長くやっていれば振り返っても楽しいし先を見ても楽しい。薪ストーブを焚く人は楽天的な人が多いというが、自分について言えばその通りかもね。


追記する。
上に書いた年代の話は「ここ20年ほどの欧米から輸入された薪ストーブブーム」を指している。まさかとは思うけど、日本の江戸や明治から続く薪ストーブの歴史と勘違いして笑われないように。「ストーブ博物館」とか紹介したようにそこは踏まえておこう。
日本にも昔から薪ストーブがあり暮らしがあった。だが薪や石炭は電気に代わり、ガスや原子力になった。日本のほとんどの一般家庭では火を焚く暮らしをしなくなった。
そこに現れた今の薪ストーブブームだ。中身はどうあれ、薪ストーブが増えていることに間違いはない。その今のブームがどう変化してどう定着していくだろう、ってその話だね。

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