「 薪ストーブ 」 一覧
空気調整レバー
アンコールには正面向かって右側面に空気調整レバーがある。
「火力コントロールレバー」とも「燃焼空気取り入れレバー」とも呼ぶらしいが、要はどれだけの量の空気を薪ストーブに送り込むかを加減するものだ。
最初、このレバーの加減がどうにも理解できなかった。薪ストーブがいくらアバウトなものとはいえ、レバーの位置はだいたい決った位置(空気の量)があるものだと思っていた。つまりごうごうと焚きはじめは全開、巡航運転になったら半分、とろとろ長時間には4分の1、といった具合にレバーの位置はだいたい定まっており、薪ストーブユーザーなら「レバーの位置はだいたいこう、こんな時はこう」とすぐ回答が得られると思っていた。
しかし、焚いてみてわかってきたことは、空気調整レバーの位置もアバウトで決りはないということ。昨日、調子良かったから同じ位置にレバーを操作しても全然燃えなかったり、すぐ燃え尽きてしまったり。そんなことの毎日だ。
さらにアンコールには空気の自動調整機能がある。レバーの位置がどこであれ、快適な火力が保てるよう空気量を微調整してくれるというものらしい。これが便利なようで私は空気調整がもっとややこしくなってしまった。
男はすぐに構造や理屈、そしてマニュアルによって頭で焚こうとする。技術あるもの知恵のあるものそういうものだ。しかし薪ストーブはそうはいかない。薪の状態や燃え方、外気温などは毎日違う。実験室のように同じ状況の再現は起こらないのだ。
「火を見て焚く」という人がいる。「感性で焚く」ともいうらしい。なんの知識のない奥さんが火の大きさだけを見て「キャー大きいわ」「今日は元気ないわね」と見た目そのままで焚いた方がうまく焚けているなんて話もある。
なるほどその通り。最初はそれがいいのかもしれない。
ガンガンに焚こう
アンコールの慣らし焚きを終えた時、ストーブ屋さんはグリドル中央のバイメタル温度計をさして「だいたい250度で焚いて下さいね。300度は高いです、やめて下さい(きっぱり断言)」と言った。その当時、たまたまネットで目にした情報とも一致していたので、私はそういうものだと思い込みずっとグリドル中央250度を守った。
しかし、声を大にして言う。アンコールはガンガンに焚こう!
暖かくない薪ストーブなど薪ストーブでない。悩んでいるならまずは暖かくなるまでガンガン焚いてみることだ。
後で知るのだがこの250度情報は「吹き抜けのない、高気密高断熱の家」の人の話だったり「完全に閉じている20畳程度のリビング、補助暖房あり、さらに靴下はいてスリッパにソファーで暮らす」家だったりしたのだ。
我が家ははるかに大きな空間で家ひとつを暖める。補助暖房なし、素足でネッ転がって暮らす、まったく逆で当てはまらないのだ。
このことに気づくまで随分と時間がかかった。ひたすら聞いた話の「250度」を守っていた(笑)。
しかし300度~350度でガンガンに焚いてみればようやく「暖かい」を実感できるようになってきた。これこそ薪ストーブだ。
もう一度声を大にして言う。アンコールはガンガンに焚こう!
グルドル中央で300度以上も当たり前。その勢いで焚いてこそアンコールの性能は発揮される。
もしそれで暑く感じるならその時は焚きすぎず250度あたりに抑えて焚けばいい。それで十分な住環境なのだから結構なこと。しかし基本情報としては「アンコールは300度以上でガンガンに焚こう」。
ブログのタイトル「薪ストーブは燃えているか」も実はここから出ている。
薪ストーブはガンガンに燃えているかい?
あったかいかい?
家族を暖めてくれているかい?
追記だ。
この記事から4年、焚きすぎとコンバスターの寿命が関係しそうだといろいろ書いている。だからといって細々と焚いても仕方のないことで、「ガンガンに焚こう」はいつでも変わりはない。そのあたり、年数が経つうちに経験的に会得できていくんだろうと思っている。
また、記事に書いた温度の数字はアンコール触媒機の場合であって、他のストーブではまったく事情が異なると言っておく。
くり返しになるが、これは私のアンコール触媒の場合であって、グリドル中央に置いたバイメタル温度計が最初から最後まで250度を超えず、それで家が寒いと感じるのであれば、もっともっと「ガンガンに焚こう」だ。ファンヒーターやこたつで言えば、「弱」で寒いのだから「中」や「強」にすればいいのだ。
少なくとも我が家の場合、家全体を暖めるにはアンコールの「強」の出力が必要で、いったん暖まれば「中」にもできるけれども、ほぼ「強」の出力が毎日必要。そんなイメージだ。
二次燃焼の灯り
アンコールの二次燃焼室は本体の奥にあって容易にはアクセスできない。だからコンバスターの状態ってのは作動しているのかいないのか、灰が詰まっているのかいないのか、焚いていてまったくわからない。気にしなきゃそれでどうということはないが、焚き方に悩んでいる時など気にし出すとなんとももどかしい。
そこで以前より気づいてはいたのだが、二次燃焼室の灯りがスロートフードの隙間から見えることがある。たまたまやっと撮れた。(画像をクリックすれば大きなサイズになる)
あの小さな隙間の向こうでコンバスターがあかかと燃えてるんだ、きっと。と、気分は良いのだが、だからといって2~3割暖かさがアップしているのかどうかは初めてなのでわかりかねる。
それに常に灯りが見えているわけではない。ちょっと空気レバーを操作するとやがて灯りは見えなくなるし、調子よく燃えていて300度も越えてガンガンに暖かいのに灯りは見えないことも多い。それともあかあかと灯りがもれてこないだけでコンバスターは作動しているのか??
??このあたりの関係がよくわからん。
夜の感じ
フラッシュなしの撮影。アンコールの赤だと言っても信じてもらえないかもしれない。何度も書くが夜の落ち着いた灯りの下では人間の目にはこういう感じで見える。
300度で焚いている。家族も就寝した夜11時すぎ。アンコールの前で焼酎「黒霧島」の湯割りを飲んでる。炉台がテーブルがわりで薪ストーブの前に陣取り、いつもはつまみなど一緒に並べて飲む。体中ぽっかぽか、炎のゆらめきを堪能しながら、ストーブの熱と遠赤外線で焼酎も料理もいつまでも温かい。
ストーブの上には加湿用の土鍋、そしてステンレスのやかん。ウォーミングシェルフには子供の手袋。乾かすのに本当に重宝する。
ストーブの下には火ばさみ。薪の補充時に薪の位置を変えたり熾きを広げたりする。また火かき棒も見える。火ばさみより力がいる時に使う。
横にはコンパクトなほうきとちり取り。これは便利。
薪の切れっ端(細割)が無造作に転がっているが、薪の補給時にちょいと添えて入れるため。
その奥に少し積んで見えるのは外の薪棚からとり入れたばかりの冷えた薪だ。
左には室内用の薪棚があり、2~3日分が置いておける。
さて夜も12時になれば就寝だ。朝は5時すぎに起きる。
ドアガラス
日常はこんな感じ。
アンコールは燃焼用の空気がエアーカーテンのようにガラスの内側を上から下へと通っているのでガラスが曇りにくい。これは本当のようだ。煤で真っ黒になるという経験はまだしたことがない。
かわりに白くかすむような曇り方をする。粉のような灰もガラス面についてる。たまに燃えた木が直接ガラスに触れていたりするとその部分が黒く煤けたりもする。
これらはぼうぼう火を燃やせばそれだけで燃えてある程度綺麗になってくれるので全然問題ないが、1ヶ月に1度くらいティッシュで拭いて透明な元通りのガラスにすれば気持ちがいい。
燃える火を見ていて本当に飽きない。
妻の顔より火を見ている時間の方が絶対長い(笑)
追記だ。
いやこの画像はヒドイね。12年目の私が1年目の私に言うとしたら、「灰片付けてガラス拭け!」だ。その後の記事で書いてるように最初の頃の私は灰を掃除せずためまくった。灰は火鉢のようにたくさん溜めた方がいいっていう口コミを間違って解釈してしまったんだな。忙しくてヒマがなかったとかで1シーズンに一度くらいはこうなったとしても、この画像が日常だってのはちと違う。
でもまあ、エアーカーテンのような空気の流れとかガラスが煤で真っ黒になりにくいっていう記事の言わんとするところはその通りだね。
なぜ薪ストーブ?
なぜ薪ストーブ?とよく人は尋ねる。
環境問題とか、原油価格の高騰とか、そんな理屈じゃなかった。
信念とか信条とかそんな高尚な考えがあってのことでもなかった。
ブームだとか、いや、時代遅れだとか、そんなことはハナから関係なかった。
自分の中に火を焚きたいという欲求があった。ただそれだけ。
アウトドア派でもない。農業にも林業にも建築にも土木にも接点がない。
ネクタイしてるただの勤め人。
思えば飯盒炊飯が好きで庭でよく焚き火をして飯を炊いた。
家族は物珍しさを喜んでくれた。
バーベキューも大好きで毎週でもやりたかったが、妻が面倒くさがるのでひと夏に1回か2回くらいがせめて。
その程度。
自分の中の火を焚きたいという欲求、DNAとも言うべき、火を焚きたいという欲求が自分の中にあり、それに従っただけのこと。
かつて人は火を起こし暖を取り、外敵から身を守り、煮て焚いて、工夫して、生活を保ってきた。そんなごく当たり前な自然の営みに恵まれながら暮らせることに喜びを感じる。
薪ストーブは自分自身。暮らし方の選択。
暖房器具の選択ではなかったのです。