「 シーズン2 」 一覧

タグ "シーズン2":102件
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ナラの導管


(写真1)は雨ざらしの薪だ。
自宅のウッドデッキで実験的に雨ざらしにしているミズナラ。
実験開始からまだ20日足らずだが、注目は導管。ナラは太い導管が年輪に沿って無数に並んでいるが、そのひとつひとつがバックリと口を開いている。(写真をクリックで拡大)
(写真2)は薪棚に積んだ薪だ。
割ったら雨のかからない薪棚に積むという普通のやり方だ。順調に含水率が下がっていく一方で、雨ざらしに比べると導管が目立たない。むしろ塞がったままの部分も多い。(写真をクリックで拡大)

それぞれ同じ玉を半割して片方を雨ざらし、もう片方を薪棚に積んだものだから樹体としての条件は同じ。
ということは、雨ざらしによって(写真1)のように導管が大きく開いたということは言えそうだね。
また、ものの本によると、広葉樹の導管は水分通導を終えると内部に閉塞する物質が形成されて自ら導管を塞いでしまうという。
神森@バルーン野郎さんに頂いた「水中乾燥」のコメントにも合致するよね。
だから雨ざらしにすることで擬似的に水分通導状態にして導管の通導を確保し、同時に水中乾燥に似た効果を得ることができる。
という仮説だ。
いずれにしろ、導管がパックリ開くことで乾燥が促進されるとすれば願ってもないこと。
特に雨ざらしを終えて薪棚に積んだ以降の効果が期待できるんじゃないかな。

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水中乾燥

水中乾燥とは面白い言葉だ。生の丸太を水に浮かべて乾燥させる。水乾燥とも浸水乾燥ともいうらしい。昔から建築の世界で行っている乾燥方法だ。
木は水につけることで内部の樹液や樹脂成分が浸透圧によって水中にとけだしてくる。水と置き換わって余計なものが固着しないから導管や細胞レベルでの通道が確保されて、その後の乾燥を加速させる。
単にアク出しとかアク抜きを目的にする場合もある。
また、木というものは伐られると内部の水分を保とうとして細胞の弁を閉じるのだそうだ。そこで水につけることで、細胞の中の弁(壁孔)が水の浸透圧によって開放状態に戻るため水分の移動が容易になり、樹脂などと水の交換が行われて水分が移動しやすくなる。
すごいね。私には神秘の世界だ。
水分によって乾燥を促進させるとは、昔の人は経験的にすごいことを知っていたものだ。
この水中乾燥は建築材のためであって、割れない反らない強くなるなどもっと他にたくさんの意味がある。我々薪ストーブユーザーの薪の乾燥とは目的も仕上がりも求めるものが違うが、薪を積極的に雨ざらしにするヒントの一つかもしれないね。

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薪が乾くスピード

先の「薪材屋外乾燥に就いて」では自然乾燥(雨ざらし)で日数とともに水分量が減少する様子が興味深かった。
割った直後の初期段階で比較的早く水分が減り、繊維飽和点以降はゆるやかになる。グラフにするとおそらく上のような曲線だ。
このことは、木の水分は自由水と結合水で成り立っていることで説明できそうだし、この自由水が抜ける時間が実験では約2ヶ月あまりと読みとることができるがどうだろう?
つまり薪は玉切り&薪割りから最初の2ヶ月で自由水の大半が抜けて28~30%前後の繊維飽和点となる。その後、平衡含水率に落ち着くまでゆっくりと6ヶ月とか1年以上をかけて結合水が抜けていく。結合水は細胞壁の中に結合している水だからこいつが時間がかかるのだ。
で、薪ストーブユーザーの私としてできることは、加熱や減圧で結合水を抜くなんてできっこないのだから、せめて割った直後の初期段階で自由水をできるだけ早く抜く。
これなら何かできる余地がありそうだ。
割ってすぐ積まないで雨ざらしにするのもこの時期のことと思えるし、それがその後の乾燥を促進するような状態を作り出しているのではないだろうか。

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薪は土用まで雨ざらし

「薪は土用まで雨ざらし」という言葉がある。
語呂も良いし好きなフレーズだ。
いつの時代、どの地方で、どんな人たちが?と気になって調べるけれどネットには口コミ以外ほとんど記述がない。常識とさえ言われるが、ことわざや言い伝えの中にも登場しないし、誰も解説していない。
確かに私の浅い経験でも合点がいく。割った直後の薪は大事に屋根をしてしまっておくより、ある程度風雨にさらした方が良い。でもなんで「雨ざらし」が効果あるんだろうか?
私は最初、雨だけじゃなく太陽や風にもよくあたる「天ざらし」だと理解しようとしたが、多くの人が「雨」に打たれることにこそ効果があると言う。
だから「土用まで」には梅雨の意味も含まれ、梅雨明けまでしっかり雨にさらして夏の天日に干しながら屋根をしたり軒下に積んで秋に備える、と解釈すればこれはこれで筋が通る気はする。
そもそも雨に打たれることで薪はどのように乾燥が促進されるんだろう??
もしそうなら効果的な雨ざらしの方法があるかもしれない。
雨=水が関係するなら、ホースで水をかけて人工的に雨ざらしを促進することもできるはずだ。理屈では昔の貯木場のように池に浮かべることだって有効になる(笑、6トンの薪を池にか?非現実的だ)。
一方、「土用」である必然性について、昔は農作業を軸に暮らしが成り立っていたから、薪仕事は農作業の合間にスケジュールされたに違いない。種まきや田植えの忙しい時に薪積んでる場合じゃないからね。ひと段落して梅雨も明けた頃に天日干ししながらもろもろの秋の準備をするのが一番都合が良かったのではないか。
(土用の間は土をかまうことは忌むこととされ、農作業をしない期間とされたらしい。炎天下の一番暑い時期にヘビーな農作業は避けるって昔の知恵だ)
そういう都合が優先されての「土用」であって、純粋に薪の乾燥だけを考えるならケースバイケースで現代は別のタイミングがあっていいんじゃないか?
ましてやみんなそれぞれ住む地域が違えば気候も違うし薪棚も薪割りの方法も時期も違う。現代は多様だからね。
いずれにしろ、ここはひとつ土用にこだわらず、積極的に雨にさらすことでどのように乾燥が促進されるというのだろう?、を考えようと思うわけだ。

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薪材屋外乾燥に就いて

1955年に「薪材屋外乾燥に就いて」という薪の乾燥に関する実験が北海道立林産試験場で行われている。
「薪材は積んでから何日すればどの程度の含水率になるか?」という質問をうけて、そういえばそんなデータは見当たらないし、薪の屋外乾燥は比較的野放図(雨ざらし?)に行われているから、もっと合理的に乾燥効果をあげるための条件を調べよう、という主旨の実験。
中身は言うほど大そうなものではないが馬鹿にしたものでもない。興味のある人はご覧の通り。
継続して実験すると書いてありながら掲載は1955年の1回きり。続報がないところを見ると、この後ますます薪の需要は減って検証する意味も失われていったんだろうか。
あれから半世紀。
今は森林や木質エネルギーの活用に関心が戻りつつあるし、私たちも薪ストーブの暮らしを楽しんでいる。
薪を知ることは木を知ることだし、こんな検証も悪くはないだろう。
北海道立林産試験場トップページ
林業指導所月報 1955年11月号「薪材屋外乾燥に就いて」(要:サイト内検索)

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薪の重さを量る

薪の重さを記録しようと思いついた。
薪は乾燥すれば重量が減っていくから、すなわちそれが水分の減少量だよね。それぞれ違う環境で保管してその推移を記録してみる。
薪割りはもう終わっていて、やっと一つだけ残っていた径が15cmのミズナラを半割にして、ひとつはウッドデッキに放置して夏の土用まで雨ざらし。片方は普通に雨のかからない薪棚というわけだ。
さてどうなるだろうね。
量るのはポケットに入れて持ち運べるデジタルの吊りはかり。10g単位で20kgまで量れる。

6月1日から3.13kgと3.04kgでスタートしたが、6月3日に量ったらもう減っていたぞ。2日間で40~50g減少。乾燥の初期段階だから目に見えて減るんだろうが、今後どんなカーブを描いて減っていくだろう。楽しみだねえ。特に雨ざらしとの比較が興味津々だし、最終的に焚くときには何kgになって、どんなことがわかるだろうか。
今回は思いついたのが遅すぎたが、次の薪割りからはたくさんのサンプルでいろんなパターンで記録してみるつもり。
薪の乾燥するしくみを通して木を調べれば調べるほど面白い。このところこの手の調べモノにすっかりハマってしまっている。

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ストーブ博物館

2007/05/31   -シーズン2, 薪ストーブ

日本だって昔からストーブを焚いていたわけで、明治~大正~昭和と、薪だろうが石炭だろうが改良を重ねていく過程で熱効率や熱工学とかの研究をしたことだろうし、実験もしただろう。使う側の庶民もズンドウストーブならズンドウストーブなりに工夫しノウハウを持って日々暖かく焚こうとしたに違いないのだ。
何も現在の薪ストーブブームだけが薪ストーブではない。ここ10数年の輸入物の知識だけじゃなくて、それ以前からもともとあったはずの日本の薪文化に学びたい。
ということでいろいろ探しているのだが、この本は「ストーブ博物館」(新穂栄蔵著)。1986年の出版。北海道大学図書刊行会。世界各国のストーブの歴史から熱工学・燃料まで豊富な写真・図版に基づき興味深く解説する「わが国初のストーブの本」とある。

ここに、本書と著者を紹介するあるサイトの文章がある。おそらく1986年の出版当時だ。

~ 北海道には欠かせないストーブの文化だが、ストーブについて書かれた本はほとんどない。本書は、「わが国では最初の」ストーブの本であり、その歴史から構造まで、幅広く記されたストーブの百科である。
ストーブに関して何か記事を書いたり、番組を作ったりする場合のネタ元は、ほとんど本書である。この著者がいなければ、これだけの歴史に残る仕事は、誰もなしえなかっただろう。〜

そこまで絶賛された名著には何が書いてあるんだ?
・・・興味のある人はどうぞ。
私は楽しく読みました。

「ストーブ博物館」/新穂栄蔵 著:北海道人

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灰を溜める量2

2007/05/29   -シーズン2, 薪ストーブ

今シーズンもそろそろ終わろうとしているが、ここ1ヶ月ほど【4】のパターンで焚いている。以前「灰を溜める量」で書いた通り、灰受け皿は満タンのまま灰を炉内に溜める方法だ。
ちなみに下の写真の通り(1ヶ月前)、灰受け皿は満タンだ。グレートの隙間まで埋まっている。この状態からさらに炉内に灰を溜めていくんだ。灰受け皿は使わない。開けることもない。

あれから1ヶ月。すでに暖かい時期なので燃焼の様子などは比較のしようがないが、一つだけ書くことがある。
やはり灰の溜まる量が圧倒的に少ないのだ。
焚いても焚いてもフロントドアまでなかなか達しない、まだ溜められる。そうして一度も掃除することなくちょうど1ヶ月が過ぎてしまった。
これはそもそも薪の投入量が比較にならないくらい少ないからだ。朝と晩に焚くだけ。シーズン中に比べれば4分の1、5分の1以下じゃなかろうか。
だがそれを計算にいれたって、本当に灰の溜まるペースが遅い。
ガンガンに24時間焚かないのでゆっくり時間をかけて燃え尽きることも灰を少なくする要因だろう。それに印象としては、炉内に溜まる灰はくり返し何日もかけて焼かれているので、燃え残る成分もさらに燃えてサラサラになって、溜めても溜めてもまだ溜め続けていられる。究極は火鉢のような上質の灰にどんどん近づいていってるんだ。
【4】の焚き方はそういうことじゃないのかな、だから灰をずっと長く溜めていられる。どうだろう?
さんざん疑問に思った「灰の出る量」に対する一応の仮説にもなろうか。
いずれにしろ、あとは次シーズンのお楽しみだね。


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薪棚に積む3


上の写真が今年で、
下の写真が昨年の同じ薪棚だ。
パッと見ではあまり差はないが、よく比べて見ると昨年の方が薪が細かく割ってある。今年に比べれば中割や小割ばかり。ご苦労なこと、要は薪割りがヘタクソなんだ(笑)。
積むときも隙間のないようギッシリ積んだ。通気なんてほとんどなかっただろう。だから細かく割ったくせに乾燥のためにはよくなかった。
今年は「薪棚に積む」の通り、風通しよく乾燥を意識して積んでいるつもり。でもその分、薪を大きく割ってあるから乾くのに時間がかかる。この差がどういう結果になるだろうか。
今のところ乾燥期間が同じであれば、風通しよく積むことの方が大切であって、薪のサイズアップは問題ない。という仮説でいるんだけどね。
ちなみに「三方五」を超えるような特別の大割は写真にはない。はじめから2年ものとして別に積んである。
どっちにしてみても、結局はもっと割った方がよく乾燥しよく燃えてより暖かい、という結果になるかもしれない。乾燥期間の長さの方が問題かもしれない。
が、それも予想のうち。まあ、やってみなきゃわからない。
試してみよう。どうなることやら。

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薪棚に積む2

薪は1日でも早く割るが、薪棚に積むのはのんびりやっている。
4月下旬に割った6トンの薪のうち、薪棚に納まったのは半分くらい。残りは天ざらしのままにしている。地面で濡れっぱなしだったり、虫がついたりしないよう時々様子を見ながら、梅雨まではこうしておくつもりだ。
この間、適度に小割を作りながら、大き過ぎる大割を割り直したりしながら、薪割りを楽しんでいる。
井桁にしてるのは仮積みだ。触ると崩れるぞ(笑)。
薪は最初の2ヶ月が最も乾燥する度合いが大きく、その後はゆるやかに乾いていくという。だから割った直後はできるだけ天ざらしにしておこうというわけだ。
もし私が薪置き場だけで50坪くらい空きスペースを持っていたら、薪割り後は敷地いっぱいにこうして井桁で仮積みをして雨ざらしにするんだけどね。

さらに天気の良い日はホースで水をかけて、雨ざらしのペースを早めるってのはどうだ?
いやいや大マジメだ(笑)。雨と晴れ、濡れたり乾いたり、という収縮のサイクルを早めることにならないのかな。乾燥させたい薪に対して水をかけるなんて発想は今まで聞いたことがないけれど、薪割り直後の雨ざらし期間に限っていえば案外有効だったりして。いつか実験してみようか。

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