「 薪ストーブ 」 一覧
火おこし
焚きつけが大好きな私が興味津々なのが「ふいご」や「火吹き竹」だ。昔懐かしい風情に憧れるし、誰も起きてない朝の暗い中でひとり黙々と道具で火をおこす情景なんて、火の達人とも火の職人とも思えて自分もやってみたい(笑)
ずっとそう思っていて「ふいご」を探してみたり、「火吹き竹」を自作してみたりしていたのだが、夏にホームセンターのバーベキューコーナーでふと目に止まった商品がコレ。「送風de着火」という火おこしの便利グッズだ。
先端を握ってポンプを押す、おもちゃ同然の空気ポンプ。
500円だ。
面白いのは、コイツは押しても引いても風が出る。
押しても送風、引いても送風だ。
その時は半分せせら笑いながらお遊びで買っておいたのだが、シーズンインしてみたらこれが便利。火おこしで空気を送る道具としては必要にして十分。先端は細く風量はあるし、コンパクトで軽いし簡単。シュッシュッシュッと絶え間のない連続した空気が発射され、燃え尽きそうなサイコロ大の熾きでも集めてコイツで吹けばまた赤々と勢いを取り戻して炎を上げる。
風情などどこにもないが、重宝してしまったのだから仕方がない。
せっかく自作した「火吹き竹」も実は負けてない。風量でいえばこちらが勝つ。
ただやりすぎると酸欠気味になったりして、ついつい便利グッズの方が手軽で楽になってしまうんだな。
でも子供たちの前で「火吹き竹」の実演で焚きつけると結構喜んでくれる。
やっぱり楽しそうに見えるんだろう。
今そこにある煙
21世紀は環境の世紀だと言われて、まるでピンと来なかったのが2000年の頃。あれから10年ひと昔もしないうちに、地球温暖化は世界の一大事になってしまった。これからも危機感は高まっていって異常気象のたび、生活への影響のたび、もっと切迫した雰囲気になっていくんだろうか。
「みんなで止めよう温暖化・チームマイナス6%」みたいな動き(その事情や思惑、個々の主義主張は別にして)もこれからますます活発になりそうだ。
とにかく時代は「今そこにある温室効果ガスを減らしたい」のである。削減目標があって急務なんである。これ以上増やさないよう、出さないよう、電気消したり、水道節約したり、クルマに乗らないで歩いたり、レジ袋をやめたり、一つずつ少しずつなんとか減らしていこう、というのである。
だからこそ、薪ストーブの暮らしに意味があるのだが、しかしまだまだ薪ストーブへの理解は薄く誤解も多い。「木を伐って燃料にするなんて森林破壊だ」と実際に言われたこともある。近所にはニョキッと出てる我が家の煙突を差して、「あの煙を止めろ」「大気汚染だ」などと言ってる人がいないとも限らない。世間とはそういうものだし、言うか言わないかだけの違いで薪ストーブに否定的な人は案外身近にいるかもしれないのだ。
もちろん我々は、薪を焚いて出る二酸化炭素(以下CO2)は温室効果ガスと見なされないことを知っている。木が固定したCO2が燃えて大気へ戻るだけであって、CO2の総量は増やしていない。地球温暖化の論議の中でもそう認められているし、薪ストーブ(我々が使うような排煙基準をクリアした現代の薪ストーブ)を問題視する論調も識者の意見も見ない。メディアも薪ストーブには好意的な扱いだ。薪ストーブ万歳。
だからといって煙は煙、「今そこにある煙」だ。
人も住宅も多いのだから、減らせるものは減らせた方がいいに決まっている。昔と違ってこれは現代の事情なのだ。
近所に20年来の薪ストーブのお宅がある。その煙突からはどの冬も白い煙がモクモクと出ていた。
ちょっと多過ぎる。なんであんなに煙が出るのか、なんであんなに白いモクモクの煙がひっきりなしに出るのか不思議でならなかったが、この夏に機種変更か、煙突に関することか、何らかの工事を行ったらしい。薪ストーブや建築業者の工事車両がしょっちゅう停まっていたからね。
するとこの冬はずいぶん煙が減っている。モクモクの煙はなくなり、薄くわずかにたなびく程度。
何の工事をしたのか知らないが、「今そこにある煙」を減らすのはやはり気持ちの良いことなんだな。薪や焚き方でも改善の余地はありそうだと思ったわけです。
二次燃焼空気の給気口2
アンコールの本体背面にある二次燃焼空気の給気口。
今シーズンはなぜか黒い二次空気カバーを取り外したままで焚いている。
上の1枚目の写真は焚いてない常温での状態だ。
このフラップが下がったり上がったりして給気口の大きさが変わるのだが、フラップには裏側に小さな突起があり、それがストッパーとなって全閉にならないしくみになっている。
それが下の状態。フラップを指で下げてみるがこれ以上は下がらない。
これが給気口が一番小さく閉まった状態ということになる。
指が写ってなければ2つの写真の違いがわからない(笑)
このわずかな開閉で空気量にいったいどれだけの変化があるのだろうか?穴が小さくなれば勢い良く吸い込むだけで量的に変化があるとは思えない。
さて、実際に焚き始めると意外なことにフラップはかなり早い段階で閉じてしまい、それでもバイメタルは伸び続けるから巡航運転になる頃にはフラップをつなぐ棒(二次空気リンク)だけが宙ぶらりん。それが下の写真。
フラップはいつ突起まで達するかというと、焚きつけてダンパーを閉めて、ものの20分や30分だ。ということはフラップが空気を調節しているのは低温時だけなのか。
260度から煙を燃焼させるためにフラップは最初開いていて、充分に二次燃焼が働きはじめる以降は閉じて一定量の空気だけを供給する。その後は500度であろうが800度であろうが1000度であろうが給気口の大きさを変えることはない。高温になったからといって空気量を絞る働きはしないのだな。
熾きに勢いがなくなって温度が下がってくればフラップは元に戻っていくが、低温かそうでないかのまるでON/OFFみたいな動きをしている。
最近ではフラップを通り過ぎて下にぶら下がる棒(二次空気リンク)の先ばかり見ている。
その通り過ぎた長さで二次燃焼室の温度の高い低いがわかるってもんだ。
棒に目盛りでも書いてやろうか(笑)
追記だ。この記事から4年が経っている。(2011.10月)
この観察はだいたい合ってるみたいだ。
低温時というのは未燃焼ガスが多く発生しがち。そのままでは未燃焼ガスが濃すぎるから多めに空気を入れている、という理解なんだろう。
デジタル温度計
かねてより目をつけていた秋月電子の「超低温/超高温(-200℃~+1250℃)デジタル温度計キット 」を購入した。
この電子工作キットを組み立てると1000℃以上が計れるデジタル温度計になる。高温に耐えられるのは長くのびたヒモ状のプローブの先端部分だけだが、このキットをネットでずっと見ているうちに、薪ストーブを計ってみたい衝動が抑えられなくなってしまったのだ(笑)
十分に可能と思われるのが煙突の煙の温度だ。煙突のネジ穴から差し込んで排気温度を直接知ることができるはずだ。
グリドルやフロントドアから差し込んで炉内や炎の温度にもチャレンジできそうだ。プローブはすぐボロボロになるだろうがスペアは購入済み。1本たったの400円だから複数用意しておける。
さらにはアンコール背面の二次燃焼室のサーモスタットの棒といっしょに差し込んで、二次燃焼ボックスの中が計れないか?コンバスター直下であればそれは二次燃焼温度をリアルに反映するにちがいない。実際に測定できたらどんなことがわかるだろう。興味は膨らむ。
ただ私は電子工作をしたことがない。ハンダ付けしたこともない。抵抗だのコンデンサだの何の話やらさっぱり。そこが問題だ。
煙突掃除が甘い
専門家の見立てによると、私の煙突は掃除が甘い可能性があるらしい。
そんなことはない、昨シーズンは3回も煙突掃除をしている。
だが、かつて私が紹介し使用している「煙突そうじ器」なるものは、あれではブラシが細く弱すぎて完全な掃除になってないかもしれない、というのだ。
確かに細く頼りなさげなブラシだ。でも使ってみればそのたび煤は順調にとれるし、回数多く掃除すれば問題ないだろうと思っていた。
しかし掃除したつもりでも煙突の奥の方ではタールや煤が薄ーくこびりついていて、完全にかき落とせていないかもしれない。すると焚けば煤はまたつきやすく、煙突の能力は短期間で低下するのではないか?
薪ストーブ屋で買えるブラシはもっと強力だ。ソフトとハードと明記してあるものもある。高価でゴージャスな煙突掃除キットもある。あれらにはちゃんと理由があるのだな。
自分で紹介した安価な「煙突そうじ器」だが、一生モノだと考えればしっかりした道具を選ぶことはとても大事なこと。
いつかその時がきたら紹介しよう。
<追記>
その1年後、しっかりした煙突ブラシを購入した。(「煙突掃除が甘い2」)
さすが。最初から買っておけば良かったと思っている。
ホーローは欠ける2
「ホーローは欠ける」の昨年は1シーズンを終えてどれくらいホーローが欠けたかを書いた。で、今年2シーズン目を終えてどうだったかといえば、ホーローに対して思うことは前回のまま変わらない。
欠けはそれなりに増えた。いずれもわずかなもので、「暮らしていれば当たり前に古くなっていく」程度の欠けだ。
ウォーミングシェルフのミトンラックを挿す穴の部分がやはり欠けてきた。ここはいかにも欠けるよね。
トップのコーナーがやや大きく欠けている。誰も覚えがないんだよね。ウォーミングシェルフの重量を支えている部分に近いからその影響もあるのだろうか。
一番目立つところでは煙突だ。接続部分のネジをドライバーで増し締めしたらバキッと割れてしまった。ホーローの煙突はちょっと締めすぎるとホーローが割れる。知ってはいてもついついドライバーを余分に回してしまうんだよね(笑)
でも心配ない。煙突はグルッと回して欠けた部分を反対側へ向けたなら、ふだんリビングにいて目に触れることはないから大丈夫。気にしない。
ところで、本体のホーローよりも煙突のホーローの方が剥がれやすい気がする。煙突は鉄板だからね。鋳物の本体と同じ感覚でいると剥がれやすいのかも。煙突掃除の作業はもちろん、普通にぞうきんで拭いたり、ハタキで埃を払っていても少し注意が必要かな。
さて、ホーローの補修はもちろん自分で行うことができて、ちゃんと補修用のパテと補修液が販売されている。パテで埋めて補修液を塗るという簡単な手順。
楽しそうでいつかやりたいと思っているのだが、そのうちに試したらまた紹介しよう。
コンバスターの交換
2シーズンを焚いて私はコンバスターをボロボロにしてしまった。
普通はこんなことにはならないらしい。どんな触媒機だってコンバスターは3年4年5年ともつように設計されている。
コンバスターが欠けたり割れたり急激に壊れる原因としては、
(1)極度の高温、(2)炎の接触。(炎がスロートフードからコンバスターを焼いてしまうというやつ)。
このあたりがまず考えられるが、長期的には本体や煙突、薪の状態など、もっと複合的な要因もあったに違いない。
いずれにしろガンガンに焚きすぎる毎日が続きすぎた。この点は疑いの余地はない。
二次燃焼室に真新しいコンバスターが収まって、今度はそうそう壊すわけにいかない。期待してるぞ(笑)
そこでよくよく調べ直してみたら、アンコールで使用するコンバスターは、コンバスターの温度約260度ですでに煙は発火を始めているらしい。それは触媒による化学反応によるもの。ガンガンに焚くから触媒作用がよく働くわけではないのだ(笑)
そしてコンバスターの温度が371度を超えるとますます十分な触媒作用を開始する。538度を超えるとはじめて強く赤々と燃えだす。
760~870度あたりまでは通常の温度だが、1000度を超えると高温すぎてコンバスターは損傷するので、推奨は371~760度の範囲。
アンコールはコンバスターの温度を計ることはできないから、経験的に会得するしかないけれど、いずれにしたって、そんなに壊れるまで焚かなくてもいいのだよ(笑)
コンバスターが赤々と燃える灯りが見えなくても大丈夫。ちゃんと二次燃焼は起こっている。(そうだったのか、笑)
がんばれ、新コンバスター。今度はゆっくりつき合おう。
二次燃焼ボックスの補修
2年目の惨状は前回の通り。(「コンバスターの寿命3」)
コンバスターは完全に破損。さらに外枠が左右に膨張するように変形したために二次燃焼ボックスの壁が圧されて左側は完全に破れてしまった。
ガンガンに焚くことがある種のテーマだったこのブログだが、やり過ぎると2年でもこうなるってことだ。まあ何事も最大MAXまで体験してこそ、余裕の幅が生まれる。ここまで焚けばまさにテーマを完遂。無理矢理に妙な満足感へと転化して、この惨状に立ち向かうのだ。
コンバスターの交換はやむなし。二次燃焼ボックスも交換しようとしたが価格が2万ン千円と聞いて気が変わった。その気になって掃除すれば十分いけるじゃないか。
そして損傷部分をヒートボンド、ガスケット用の耐火セメントで補修を試みる。
ヒートボンドで表面を馴染ませて数分後にセメントを盛って接着。大きく欠けた部分は二次燃焼ボックスの破片を砕いてセメントと練り混ぜたもので成形しながら埋める。
コンバスターに圧されて破れた壁は外側から金具で支えることに。
前面の3本のネジ穴をすべて埋め、別に4カ所で留める直す。
そして二次燃焼ボックスのあらゆる部分をボンドとセメントで接着&コーキング。
常温では頑丈に固まってバッチリOKだ。常温ではね。
実際に焚いたらさてどうなるだろうか。
追記だ。14年目の私がこの頃の私に何か言うとしたら、諦めて新品に交換しなさいだ。初心者のうちだったからあれこれジタバタ試行錯誤したけれども、14年目の今だったらこんな補修でしのげるとは到底考えない。そもそも14年目の今はコンバスターも壊れなくなった(「condarのコンバスター3」)。なので二次燃焼ボックスもここまで壊すことはない。
でも、いい思い出だね。
コンバスターの寿命3
衝撃の写真を紹介しよう。
わずか2シーズンで破壊されたコンバスター。先日掃除した際の写真だ。
以前「コンバスターの寿命2」でこんな感想を書いた。
~「コンバスターの製品として設計された寿命は「12,000時間、5~6年」(ファイヤーサイド社の記載より)と決まっているが、要するに使えば使うほど、それが酷使すればするほど寿命は短くなる。それはタイヤの摩耗と同じようなもの。。。」
まったくその通りだ。ハッキリ明言するが、私のコンバスターの場合、寿命によって2年で壊れたのではなく、使い方によって(燃やしすぎて)2年で壊れたのだ。
Tシャツ1枚でいられるほどガンガンに焚きたがる好みの問題。それは薪を炉内いっぱいに詰め込んだ上にガンガンに高い燃焼温度で焚きまくる。寒い時期の在宅中はほぼその状態。
コンバスターの外枠までもひしゃげてしまっている。
二次燃焼ボックスもボロボロ、もうダメだろう。左側面は破断しいて気密も何もない。サーモスタッドの棒も燃え落ちている。
ジタバタしても仕方ない。すべて取り替えだ。
ストーブ博物館
日本だって昔からストーブを焚いていたわけで、明治~大正~昭和と、薪だろうが石炭だろうが改良を重ねていく過程で熱効率や熱工学とかの研究をしたことだろうし、実験もしただろう。使う側の庶民もズンドウストーブならズンドウストーブなりに工夫しノウハウを持って日々暖かく焚こうとしたに違いないのだ。
何も現在の薪ストーブブームだけが薪ストーブではない。ここ10数年の輸入物の知識だけじゃなくて、それ以前からもともとあったはずの日本の薪文化に学びたい。
ということでいろいろ探しているのだが、この本は「ストーブ博物館」(新穂栄蔵著)。1986年の出版。北海道大学図書刊行会。世界各国のストーブの歴史から熱工学・燃料まで豊富な写真・図版に基づき興味深く解説する「わが国初のストーブの本」とある。
ここに、本書と著者を紹介するあるサイトの文章がある。おそらく1986年の出版当時だ。
~ 北海道には欠かせないストーブの文化だが、ストーブについて書かれた本はほとんどない。本書は、「わが国では最初の」ストーブの本であり、その歴史から構造まで、幅広く記されたストーブの百科である。
ストーブに関して何か記事を書いたり、番組を作ったりする場合のネタ元は、ほとんど本書である。この著者がいなければ、これだけの歴史に残る仕事は、誰もなしえなかっただろう。〜
そこまで絶賛された名著には何が書いてあるんだ?
・・・興味のある人はどうぞ。
私は楽しく読みました。
「ストーブ博物館」/新穂栄蔵 著:北海道人
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