「 薪づくり・薪のこと 」 一覧
小割づくり
予定していた休日の薪割りが雨だったりすると、自宅で小割づくりに没頭する。
雨がしのげる自宅裏のわずかなスペースにイスと小さな薪割り台を置いて、ひとり黙々とコン、コン、コン。
小割づくりはこれからの寒い時期がよく似合う。すでに乾燥している薪棚から小さい径の小枝を選んで、イスに腰掛けてただひたすら手斧でコン、コン、コン。
乾いた音だけが響き、こんな静的で地道でひとり寡黙でいられる小割づくりが私は大好きなんだな。
ふだんは焚きつけに必要な分だけ、とりあえず今週くらいは持てばいいかなと思う分をその都度割る。不慣れな祖母が焚きつけたりすると1日で使ってしまったりして、すると帰宅後にランプの下でまた割る。
明日は仕事で遅くなるから家族が焚きつけ失敗しないよう多めに、、、
今リビングは大割が目立つから小割を増やしておこう、、、
などとあれこれ思いを巡らしながら、イスに腰掛けてただひたすら手斧でコン、コン、コン。
原木の購入3
来年(2008年)のための原木購入だ。
私は前年のうちに薪を用意しておくスタイルを目指していて、2007年10月現在で用意すれば来年2008年10月のシーズンインで乾燥期間はちょうど1年になる。冬越えの薪ってわけだ。
ただそれでも足りないと思っていて、自分としてはもっと早く春のうちに用意して乾燥期間1年半を目指したいっていうのが理想なんだな。
さて、原木は5トン。
前回も前々回も見事なナラを中心とした原木購入だったが、今回はある程度の「広葉樹まじり」を了承しての注文。100%ナラだけでなきゃイヤだってのも調子良すぎるからね。
それにしても、「ナラ、時々広葉樹まじり」
それとも、「広葉樹、時々ナラまじり」?
微妙だ(笑)
割るに割れない小径や小枝も目立つ。
バックリと重厚な手応えの薪割りが楽しめるのがナラ。
ナラは割って楽しい、積んで嬉しい、焚いて満足。大好きだ。
様子を見て100%ナラだけで2トンばかり入手できないかと思案している。
薪の重さを量る4
薪を雨ざらしにすることの効果について、雨ざらしの薪とそうでない薪で比較をしている。(「薪の重さを量る」)。
6月1日の実験開始から4ヶ月。
いよいよシーズンを迎えてどうなっているかという途中経過が下のグラフだ。
雨ざらしの薪が薪棚の薪を下回り始めた。これは実験開始時のもともとの重さからすれば当然なのだが、梅雨の間たっぷり雨ざらしにしても最後にはちゃんと乾くという証拠だ。薪は(乾燥の初期段階ならば)少々雨に濡れても構わない。私はもう疑う余地はないぞ。
ただ「雨ざらしの薪の方がよく乾く」とするにはまだ早い。この時点では乾燥していく本来の曲線カーブに戻っただけの話。
雨ざらしの薪はまだまだ減少傾向にあるから、今後さらに水分が減って2~3ヶ月後どんなカーブを描くだろう。そこが楽しみだ。
今は同じ薪棚に収まっている「薪棚の薪」と「雨ざらしの薪」。
木口や切断面などの見た目の違いはご覧の通りだ。樹皮ではほとんど差がわからない。
面白いところでは虫の有無が違う。薪棚の薪は手にすると細かなアリや虫などが数匹表面を歩いているのを見つけることがある。木の成分や養分が目当てなんだろう。
雨ざらしの薪は皆無。虫がいるのを見たことがない。成分は流れてしまって美味しいものは何もないんだろうね(笑)
(追記)
蛇足だが留意しておきたい点。
これは「ナラ」についてのみの実験であること。
そしてこの実験ではどちらも1本ずつ扱われて通常の薪づくりではあり得ないくらい理想的な「雨ざらし」と「薪棚」であること。何立米もの大量の薪棚では通気とか湿気とか積まれた場所とか、また別の要素が加わる。
薪(木)の本来の性質と、それを取り巻く状況的要素。この2つを分けて考えて、ひとつひとつヒモ解いていけたらいいんだけどね。
薪棚まで49歩
「薪の運搬」で書いた通り、我が家は少し高台にある。
路上に止めた軽トラからどっこいしょと薪を背負って、この階段を運び上げているのだ。
薪棚まで49歩。
うち階段が20歩。
軽トラ満載の1.2立米ほどの薪を運び上げるのに1時間は必要とする。往復すること30回か、40回か、50回か?そのうちただ無心になって最後まで数えられた試しがない(笑)
シーズン中は12立米とも、15立米とも薪を焚く。クレーンとか、滑車とか、スロープとか、あれこれ機械じかけに苦心はするのだが、結局は一輪車さえ使う余地がなく、我が家の住宅事情では人力あるのみ。
いつまでできるかな?
先のことはわからない。
唯一、軽トラを横付けできるのが車庫の薪棚だ。
自分が荷台に乗ったままドンドンと積み上げていける。薪棚まで0歩。これが一番。
一目瞭然。
これから薪ストーブの導入を考える人は、事情が許す限り軽トラが横付けできる位置の薪棚計画をオススメする。購入して運んでもらうにしろ、自分で作って積むにしろ、真面目に検討した方がよろしい。
平衡含水率
木材を屋外で自然乾燥させていくとだんだんと含水率が下がっていって、やがて放湿と吸湿がつり合って水分がそれ以上増えもせず減りもしない状態になる。そこが「平衡含水率」だ。屋外にある木材はみな最終的にはここに落ち着いて平衡する。雨ざらしか屋根ありかを問わず、自然乾燥である限りこれ以下に乾燥することはあり得ない。建築の世界では誰もが勉強することらしく、検索すると詳しく読める。
薪も屋外の自然乾燥だから同じことが言えるんじゃないかな。
乾燥させていけば限りなく含水率0%になるわけじゃない。薪を乾燥させるということは、平衡含水率を目指して乾燥させているってことだ。
その平衡含水率は季節とともに日本各地で異なる。それが下の資料だ。各地で含水率が一番低い月と、高い月で表されている。
私は薪ストーブユーザーなので何でも薪づくりに結びつけてしまう。
例えば、一番薪を焚きたい1月で比較すると、福井では1月が最も平衡含水率が高くなる。つまり自然乾燥である限りどうガンバッテも、この時期の福井では17~19%以下の薪を手にすることはできない。
しかし同じ頃、関東とくに群馬の前橋では11~13%の薪を手にすることが可能なのだ。同じ薪づくりなのに土地によって乾燥する度合いが違うなんてズルイじゃあないか?。
この約5%の含水率の差がどういうことになるかというと、一方では2kgの薪を薪ストーブにくべている間、一方では2kgの薪+100gの水を入れているってことになる。
やっぱりズルイじゃないか。こんなことが日本各地で起きているとしたら?
なあんて、あまり鵜呑みにしないように。
でも理論上、薪は乾燥すれば最終的に平衡含水率になるはずだし、こんな目安があるだけでも薪づくりに実感が生まれる。薪づくりの地域性、多様性みたいなものも感じられないかな。
軽トラで薪運び
住宅地にある私の自宅には薪を十分に置いておけるスペースがない。
そこで考えた薪づくりのスタイルは、クルマで20分のところに薪置き場を借りてそこで薪づくりをし乾燥させ、焚く時になったら自宅の薪棚へ運ぶ。というもの。
この薪置き場なら1年分を一度に置いておけるし、何より日当りも風通しもいい。自宅に積んでおくより遥かに乾燥に適している。つまりここは薪を乾燥させるための「乾燥棚」だ。
自宅は焚く直前の「保管棚」だ。すでに乾燥しているんだから通気はそれほど気にしないかわりに、雪や雨に濡れないようしっかりガードする。
というわけで、いよいよシーズンインだ。せっせと軽トラで薪を自宅へ運ぶ。写真くらい積んでだいたい1.2~1.3立米くらいだろうか。
私の軽トラの場合、だいたい40cm超の薪がちょうど3列に並ぶ。(写真の白い軽トラは以前の同型のもの。玉切りして割った直後。)
この向きで積んでいけば左右のヨコ崩れは心配ない。後方だけに気を配ればよく、荷台シートで覆うので薪一本落ちたことはない。
軽トラ
薪ストーブのある暮らしをしていると、どうしても軽トラが欲しくなる。
でもなかなか買えないものだ。軽とはいえ車検や維持費もバカにならない。駐車する場所もない。だから今までは使いたい時に知人に借りて使わせてもらっていた。でもやっぱり欲しい。自分の軽トラが。
というわけで、シーズン3年目にしてついに私も軽トラ購入に踏み切った。
もちろん中古の旧規格車を格安で探したわけだ。
平成元年式、旧規格の丸目のアクティ。しかも青。550cc、4WD、走行70,000km。
錆も少なく年式の割りに程度は上々。エンジンもすこぶる調子がいい。
価格は6万円。
ただ古いのでタイミングベルトとかマフラーとか交換すべき部品は交換しておいた方が長く乗れる。それで車検通すのに10万円近くかかってしまった。とにかくしばらくはこれでバッチリ。まだまだイケるさ。
エアコンはもちろんない。軽トラの正しい乗り方は窓ガラス全開で片ひじ運転。風をいっぱいにうけて、昔のカセット入れて、ひた走るのがよろしい。
私の薪ストーブライフ、シーズン3は丸目のアクティを相棒にスタートだ。
雨ざらしの長さ2
40日目の雨ざらしの薪だ。
見た目だけでいえば好みの分かれるところだろうね。
これを眺めていて思うのは、雨ざらしによって薪の中の何が失われているのだろう?ということだ。
「油分が抜ける」とよく表現されるように、溶け出したり流れたりして失われている成分があるはずで、それが過ぎると火力に影響する、というのならば、いよいよ雨ざらしはほどほどでなくちゃいけない。
木の主成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニン。これらが約90%以上を占めている。
残りの数パーセントが副成分で、樹脂や木の匂いの元となる成分やデンプンなどの糖分、カリウムなどの無機質など(全部を列記しないが)さまざまな物質が含まれているらしい。木の生々しさというか特性や個性にも関係する部分で、雨ざらしで流れるとすればこの副成分のことだよね。そもそも木は雨の日は葉っぱの細胞の弁を閉じて養分や成分が流れるのを防いでいるらしい。
また、ある興味深い記述があって、ナラ、特にクヌギはカリウムの含有量がとても多く、それが燃焼に作用して火力や火持ちに優れるのだという。そのカリウムも一般論でいえば水に溶けて流れる。
とするなら極端にいえば、雨に濡らさず成分を落とさず、割ってすぐ薪棚に保管して、乾燥しにくい分はキッチリ2年以上の時間をかけてやるのが火力の強い最高の薪をつくる一番の方法だ、という言い方ができてしまう。
「雨ざらしは乾燥に良い」
その一方で、
「雨ざらしは火力を落とす」
と考えるなら、
ちょうど良い答えはどのあたりにあるのだろう。割った直後に適度に雨ざらしにして、その後は濡らさず保管する。。。さて?
雨ざらしの長さ
いくら雨ざらしが乾燥に効果ありといっても、やり過ぎはよくない。
「雨ざらしが過ぎると火力のでない薪になる」
とコメントを頂いた通り(「薪の重さを量る2」)、何事も丁度良いのが丁度良い。
ではいったいどこに最も効果的な雨ざらしの長さがあるのだろう?
そもそも雨ざらしが過ぎると薪はどうなるのか。
日光による劣化や、カビや腐朽菌などのいろんな微生物、細胞レベルでの分解とか、まさしくそれが「腐朽」に至るメカニズムであり、目には見えなくとも薪にはさまざまなことが起こっていそうだ。火力がなくなるという状態もこの腐朽に至るどこかの段階なんだろう。
目に見えて腐ってしまうのは論外として、火力が無くなる手前の、一番適当な雨ざらし期間。これを探りたいわけで、とりあえず私の当てずっぽうな感覚では、春に割る薪の場合であれば、割った直後から2ヶ月までのどこかに適当な長さがある。最大でも3ヶ月。半年は長すぎる。
というイメージを前提にしてあーだこーだと調べている。
雨ざらし期間の目安は雨量なのか。日数なのか。それとも薪自体に現れる変化なのだろうか。
例えば下の図は年間の各地の降水量だが、地域によって平気で2倍も3倍も違う。つまり雨量だけに注目するなら、あるところでは2ヶ月かける雨ざらしが、あるところでは1ヶ月で事足りるという推理もできてしまう。もっと想像すると、4月5月の雨量の少ない時期なら2ヶ月の雨ざらしもいいが、梅雨時では1ヶ月でも長過ぎる、とかね。
他にもいろんな可能性がありそうなのだ。
薪の重さを量る3
薪の重さを量ることでもう一つ、含水率の計算をして遊ぶことができる。
まず目安になるのが繊維飽和点という考え方。グラフでいえば急カーブが横ばい傾向に転じる変曲点にあたると思われ、ここがどの樹種でもだいたい30%前後だというのだ。
これらの理由など、木の乾燥について詳しく知りたい人は検索すればたくさん見つかる。
30%前後というアバウトな数字なんだが、とりあえず私が現在やっている雨ざらしの実験でいえば(「薪の重さを量る2」)、グラフはそろそろ横ばい傾向を迎えつつあるので、そこ(2.78kg)を繊維飽和点と仮定してみる。
(でないとこの記事が始まらないからね)
すると下記のような含水率の計算ができる。
つまりこの薪の全乾重量は約2.14kg。
そこから算出すると、この薪が薪ストーブに適した含水率15%になるのは、約2.46kg。
20%では約2.57kgということになる。
本当か?(笑)。根拠があるようで当てずっぽうな計算なのはおわかりだろう。
でも楽しみじゃないか。仮説を立証していく過程は大なり小なりこういうもの。薪の乾燥に対する捉え方やアプローチの話だ。
こんな目安を立てながら(楽しみにしながら)木を学びつつ、修正を加えていけば、いつか経験的にもっと確かな数字が出せると考えているんだ。