シーズン2 薪づくり・薪のこと

薪は土用まで雨ざらし

「薪は土用まで雨ざらし」という言葉がある。
語呂も良いし好きなフレーズだ。
いつの時代、どの地方で、どんな人たちが?と気になって調べるけれどネットには口コミ以外ほとんど記述がない。常識とさえ言われるが、ことわざや言い伝えの中にも登場しないし、誰も解説していない。
確かに私の浅い経験でも合点がいく。割った直後の薪は大事に屋根をしてしまっておくより、ある程度風雨にさらした方が良い。でもなんで「雨ざらし」が効果あるんだろうか?
私は最初、雨だけじゃなく太陽や風にもよくあたる「天ざらし」だと理解しようとしたが、多くの人が「雨」に打たれることにこそ効果があると言う。
だから「土用まで」には梅雨の意味も含まれ、梅雨明けまでしっかり雨にさらして夏の天日に干しながら屋根をしたり軒下に積んで秋に備える、と解釈すればこれはこれで筋が通る気はする。
そもそも雨に打たれることで薪はどのように乾燥が促進されるんだろう??
もしそうなら効果的な雨ざらしの方法があるかもしれない。
雨=水が関係するなら、ホースで水をかけて人工的に雨ざらしを促進することもできるはずだ。理屈では昔の貯木場のように池に浮かべることだって有効になる(笑、6トンの薪を池にか?非現実的だ)。
一方、「土用」である必然性について、昔は農作業を軸に暮らしが成り立っていたから、薪仕事は農作業の合間にスケジュールされたに違いない。種まきや田植えの忙しい時に薪積んでる場合じゃないからね。ひと段落して梅雨も明けた頃に天日干ししながらもろもろの秋の準備をするのが一番都合が良かったのではないか。
(土用の間は土をかまうことは忌むこととされ、農作業をしない期間とされたらしい。炎天下の一番暑い時期にヘビーな農作業は避けるって昔の知恵だ)
そういう都合が優先されての「土用」であって、純粋に薪の乾燥だけを考えるならケースバイケースで現代は別のタイミングがあっていいんじゃないか?
ましてやみんなそれぞれ住む地域が違えば気候も違うし薪棚も薪割りの方法も時期も違う。現代は多様だからね。
いずれにしろ、ここはひとつ土用にこだわらず、積極的に雨にさらすことでどのように乾燥が促進されるというのだろう?、を考えようと思うわけだ。