薪集めの失敗
始めた頃の薪集めは失敗ばかりだった。欲張って失敗したこともあるし、声をかけまくったあげくドツボにハマったこともある。特にウマイ話ほどウマくいかないものだった。
ある日クルマで走っていたら遠くの山で伐採しているのが見えた。すぐさま飛んで行き、作業している頭とおぼしき人に交渉。「ああ持っていっていいよ」あっという間にOKが出た。なんというラッキー。早速着替えて出直し、汗だくになって軽トラで5杯運んだところに現れたその現場の本当の責任者。
「オレんとこの祭事で使うんじゃあ。全部返せ。」
げーっ。。。。また汗だくになって泣く泣く軽トラ5杯を返し終えた頃には夜も更けて。。。。
伐採現場にナラが放置されているから持って行ってくれという話。喜んで行ってみるとそこは土砂災害の危険指定地域。見上げるばかりの砂防コンクリートの壁。ビル3階分はある。そのさらに上に傾斜45度以上はある急斜面の崖地が続いていた。そこで伐採された木はクレーンで搬出済みだ。そのクレーンで届かなかった崖の遙か上に残されたヤツを持っていっていいというのだ。
ちょっと待て。クレーンで搬出できず本職の作業員が見捨てたヤツを、機材も何も持たず自分一人でこの崖地から運び出せるというのか???
しかし私はその現場が薪集めデビュー、そしてチェンソーデビューだった。初心者は断るという発想自体持ってなかった。
3階建て相当の階段をゼイゼイ登り、その倍以上の高さの急斜面をヒィーヒィー這い上がり、倒れた木を玉切りにして、しかし初めてなので何度もチェンソーが挟まれ難儀し、やっと80cmにして急斜面を引きずり降ろす。そして40cmに切って一つ一つ抱えてビル3階分の階段を下りて軽トラに積む。これをくり返すこと軽トラ4杯分。ほぼ丸3日。部活の特訓じゃあるまいに過酷すぎる。よほど上等なナラばかりでない限りこんな現場はもうやらない(笑)。
その時のナラが今シーズン焚く薪の主力となる。
焚くたびに遠い目になりそうだ(笑)