薪割り5年
薪を割って5年。まだまだ5年。
今年もふうふう言って、脇目もふらず、一心不乱に、斧を振ってます。
薪割りをする時は一人きりで、誰かと話すとか笑うとか、面白いことなどなにもないのに楽しくて仕方ありません。2時間もぶっ通しで斧を振っていれば足元がおぼつかなくなってきて、頭ではそろそろ休憩だと斧を置こうとするのに、手は次の玉を薪割り台に立ててしまってます。「これを割ったら休もう」、そんなことをくり返しているうち3時間も薪割りを続けて、割った薪は山のように積み上がっていきます。すると嬉しくてますます止められなくなってさらに薪割りが続きます。
そろそろ日も暮れてきて手袋の中で手の皮が剥けているのに気がついて、それはマメが少し破れた程度なんだけれども、痛かったのはこのせいか、なんてやっと笑います。
ただの勤め人のヤワな体は鍛えられるどころか、夜は自宅の階段を這いずるように登り、朝はきしむ体でようやく降りてきます。少しはマッチョになるかと思えばあいも変わらずスマートで、背は縮むし白髪も出るし、でもできるようになったことがどんどん増えて楽しい毎日です。
20年、30年たっても薪割りをしているとしたらそれはどんな境地なんだろう、なんてすぐに思ってしまう、先のことをすぐに見たがるのは悪いクセ。愉しみにしればいい。どんな明日もどんな未来も。
薪を割って5年。まだまだ5年。ふうふう言って薪を割る。